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19 May 2013
 二匹の女バッタは街角で、ながいあひだ、お低頭をし、冬がきて霜が降り、自分たちの運命が、木の葉と同じやうに散つてしまふことに、たがひがフッと気がつくまでには、それからまた百回ほどもおじぎをしました。悲しい運命に気がつくと、二匹は身ぶるひして買物の包を小脇に抱へなほし、大急ぎで両側のくさむらの中に、横つ飛びにとびこみました、ガサガサと葉の音をたて、どこかに行つてしまひました。  いつのころからか、バッタの国に、よその土地から流れこんできたバッタの裁縫師がありました、彼はそこで小さな店をひらき「帽子」といふ頭にかぶるものを、発明して売り出しました、世間では彼のことを帽子屋と呼んでゐました、帽子といふものは不思議なもので、それを忘れてきたものは 「かう帽子を忘れてきては、おれの頭もよくないにちがひない――」  と自分の頭の悪さに考へ及ぶといふ性質をもつてゐました、そこでバッタたちは帽子を忘れまい、忘れまい、と努力しました。なかには帽子を拾はうとして、電車に礫かれた男がありました、世間ではかう言ひました。 「実に馬鹿な男だ、あいつは始め帽子を追ひかけてゐた、そのうちに帽子ではなく、頭を無くしたのだと考へ違ひをしたものらしい、でなければ、たかが帽子一箇を拾ふことで、大切な真個うの頭を無くすることはあるまい――」 八鍬里美 マカロン クレジットカードでSEO対策を現実化


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